製造部のTです。
今回は、印刷製造で重要になってくる要素についての紹介です。
印刷の製造部門では、いかに多くの案件を、品質を保ったまま印刷していくかが重視されます。
品質を保つには、「水」「インキ」「ドットゲイン」の3つの要素を意識して印刷することが大事です。
この中でも特に「水」は重要になってきます。
通常、オフセット印刷では刷版(インキ位置が刻印されたアルミ版)のインキが乗る箇所以外を水膜で覆い、刷版→ブランケット(紙に転写するゴム)→紙へと転写させます。
この水膜を印刷業界では「湿し水」といい、季節によっては扱いが難しくなります。
湿し水を増やすと、印刷汚れなどが起きにくくなりますが、素抜けや着肉不良などによる汚れによって、ベタと網点とのメリハリがなくなってしまい、印刷品質に影響を及ぼします。
湿し水を増やすことで、綺麗に印刷できたとしても、乾燥不良が原因でのウラ移りや、パウダ過多によって後加工のトラブルの要因にもなったりします。
適切な給水量での印刷が重要になってくるため、ローラーの調整や湿し水の交換など、定期的なメンテナンスは欠かせません。 次に重要視されるのが「インキ」です。
最近は印刷機の中に測定機が搭載され、インキ坪の調整が自動化されている機械が多いですが、案件の変更直後には色のばらつきが出てしまうため、弊社ではインキ濃度を安定させる作業を行ってから本刷りを行っています。
また、温度変化による濃度ズレも見逃せません。
インキ自体も温度変化に弱く、夏場は硬めのインキ、冬場は柔らかめのインキを使い分ける必要があり、さらには機材のローラー自体もゴムであるため、太くあるいは細くなることで、季節の変わり目には濃度ズレ・ムラが起こりやすくなります。
このようにインキ量が原因ではないトラブルもあるため、インキ濃度の調整には技量が求められます。
最後に重要なのが「ドットゲインの予測」です。
オフセットでの写真等の印刷は色がついた点の集合体です。この色の点(=網点)で多様な色相・トーンを表現する印刷手法を「網点印刷」といいます。
この網点が意図せず太ったりする現象を「ドットゲイン」といいます。
ブランケットが古くなると、インキが乗りにくくなり、印圧を必要以上にかけてしまうことがあります。印圧が強くなると、色相・トーンに異常が発生しやすくなるので、ブランケットを早めに交換することで安定した網点表現が可能になります。
このように印刷製造の現場では機材だけでなく素材、気候にも気を配らなければならないですが、こういった技術への探究がまた楽しいものでもあります。
印刷業界に興味がある方や、印刷の知識を得たい若い学生の方の参考になれば嬉しいですね。一緒に仕事をしたい方は是非お問い合わせください。